香聞 茂™のじぇじぇじぇる

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相容性と非相容性の狭間にて

2014年12月07日

前回の塗料に関して、途中でペンディングとしていますので、それまでの簡単なまとめをしました。固形成分である、顔料・樹脂・添加剤は塗膜成分となります、塗膜にならない成分は、大気中に揮発して行く水(水性塗料)や有機溶剤(油性塗料)の分散媒です。エフリゴの両親媒性高分子ゲルを用いた塗料は、水性の塗料をコントロールする目的で利用できると考えております。

さて粘着剤への用途として期待できる効果は、乾燥後の粘着性を変化させる事です。

一般的にポリマーアロイでは、高分子樹脂の相容性はある程度溶解度パラメータで予測できます。(成分である高分子間で極性基の相互作用、ランダム共重合体効果、水素結合の形成、コンパティビライザーの効果などの作用による)。ポリマーブレンドは相容性、非相溶性高分子の多成分系のことで、相容性のみならず非相溶での相分離構造による物性向上を期待して研究が進められているところです。

では、エフリゴの化学的に安定した高分子ゲルは、このポリマーブレンド→非相容性という方向性を考えてみた場合に、一つの特徴である『有機溶媒に一定の膨潤作用を示すが不溶である』という点は、その不溶部分が非接着の海島構造で分散できるため単一成分の樹脂エマルション(強制乳化及び自己乳化)の粘着剤に添加する事で、粘着性に改良ができると考えております。

多くの場合、粘着剤(接着剤もふくむ)の合成は仕込みの段階で、分子構造を制御しその特性を産出しているのがほとんどですが、合成後の粘着剤に安定分散する両親媒性高分子ゲルを添加する事で、改質できないかという点に着目して、開発を展開する事となりました。

では、実際にどの程度の分量(濃度)で、どんな特徴が見出せるのかは、実験的に調べる必要がありました。先ずはベースにする粘着剤の選定ですが、何社かメーカー様よりサンプルを入手しました。

凝集が生じない粘着剤に攪拌しながら添加する上で、粉末状で行うにせよ、混和性が良くない場合は、ままことなって上手く分散しないという現象が発生します。両親媒性ゲルの量及び添加方法を試行錯誤しましたが、粘着力を少し下げる事と糊残りがしないという点がゴールだったことから思いのほか良好な粘着剤が見出せた事で、順調な滑り出しでした。

しかし、好事魔多しのことわざの通り、開発品を有償提供させていただきましたが、意外な落とし穴が待ち受けていました。塗工加工では確認が取れていませんでしたので、販売先企業様の加工先で塗工していただきましたが、思い通りの仕上がりにはなりませんでした。

粘度を調製する希釈が行われたものと推測しましたが、実地の検証が都合により不可能だったためこれ以上の調査が実質できなくなり、残念ですが今回の成果が実利に結び付きませんでした。盲点は、粘着加工は、溶剤系がまだ主流?であるため、何かの行き違いが有ったとしても後の祭りでしかありません。反省点として、今後は粘着加工会社様と直かに情報交換しながら立会いの下で実施していく事だと振り返りを行いました。

こんな経緯をたどって開発した粘着剤は、スポットライトは浴びておりませんが実需向けに製品化しゲルタック(業務用弱粘着剤)として受注生産しております。

良い点は、高分子ゲルの添加量を調製して、粘着力をカスタマイズできること、意外にも粘着加工した面の耐水性(塗布材料が耐水性の物)など。このあと、ゲル微粒子の改良が今回の開発案件で現実化し、いよいよ『精油のゲル化』できる高分子ゲルの登場です。

では、次回をお楽しみに。